「黙食」
もう死語になったのに、改めて聞くと騒動となった当時のことが思い出されます。
当時、福岡のある飲食店が始めた「黙食」は、マスメディアによって大々的に取り上げられました。
すると、全国各地の飲食店がマネをするようになったのです。
なんで今さら「黙食」なんですか?
マスターはいろんな人から聞かれたそうです。
気づいた人からすると、不思議に思えることでしょう。
不思議に思うかもしれませんが、「黙って食べる」ことにはちゃんと意味があるのです。
その意味を実感する会となりました。
イベントの特製ランチ
あがほ考琲のイベントといえば、もちろん、マスターの作る特製ランチ
今回は、まる未会とも違い、ストレートに「ベジタブルカレー」でした。
いつもと違うのは「黙って食べる」
入っている野菜は有機野菜で、もちろん、添加物も小麦も入っていない体にうれしいカレーです。
いつもと違うのは、食事開始から1時間、マスターも含めた全員が普段とは異なる過ごし方をします。
- 食事中は黙って食べる
- 会話も禁止
- スマホを見るのも禁止
- 本も読まない
- 食事後の過ごし方は各自の自由
たとえて言うなら「プチ座禅」
カレーが配膳される前に、各自に考琲(コーヒー)が出されます。
今回は、ミャンマー産のホワイトハニー製法で作られた豆のアイスコーヒーです。
まずは、アイスコーヒーを飲んで味や香りを舌に覚えこませます。
ほとんどナチュラルでやっぱり美味しい
そんなことを思っていると、特製ベジタブルカレーが配膳されてきました。
配膳されたカレーを、味わいながらゆっくりと、よく噛んで食べます。
管理人は、半分くらい食べたところで味を変えようと、スパイスをかけました。
あれ、こんなに辛かったっけ?
普段、あがほ考琲でカレーを食べるときは、スパイスをかけてもそこまで辛く感じていませんでした。
でも、今回は違います。
ちゃんと辛いんです。
野菜の甘みを感じると同時に、スパイスの辛さがちゃんと主張して来るんです。
こんな感覚なかったなあ~
食べ終わると、はっきり言ってやることがありません。
普段はマスターや他の常連さんたちと話をしたり、スマホをいじったりするのですが、今日は禁止です。
することがないので、椅子に深く座り、目を閉じて時間が過ぎるのを待ちます。
コーヒーの味に違いが
食べ終わった直後は、手持ち無沙汰でした。
スマホもいじれないので、いろんなことが頭をよぎります。
イベントが終わった後、買い物しなきゃ・・・
- 今日しておかないといけないこと
- 明日からの仕事のこと
- 今後の自分のこと
一通り考えると、考えることもなくなっていきます。
すると、周りの音がとても鮮明に聞こえ始めるのです。
- 通り過ぎる自動車の音
- 外を歩いてる人の話声
- 何か作業をしている物音
普段は気にしたことのない音に意識を集中していると
はい、終わりで~す
マスターから声がかかり、改めてカレーを食べる前に飲んだのと同じコーヒーが配られていきます。
どう変わるんだろうと思いながらコーヒーを口に運びます。
!! 違う!
- 香り
- 苦み
- 酸味
- コク
すべてがよりクリアになり、輪郭がはっきりしているのです、
カレーを食べる前と同じコーヒーですが、飲んだ時の感覚は別物でした。
黙って過ごす時間の持つ意味
黙食の後は、いつも通りにコーヒーとスイーツとおしゃべり。
参加した皆さんそれぞれに、コーヒーの違いを感じていたようです。
コーヒーの味が変わったというより、飲む人間の感覚が変わったと言えます。
「本を読まない」と言いましたが、禁止されているわけではありません。
そういえば、本を持っていこうと思わなかった
「黙って時間を過ごす」
食べ終わった後、自然と目を閉じて、眠ってしまわないようにだけしていました。
おしゃべりしていると、参加した人の間で意外な共通点もあり、時間はあっという間に過ぎていきます。
どうなるかと思ったけど、やってよかった。
なんか、自分も落ち着けたし。
マスターも、1人の参加者として「黙食」の意味を感じ取り楽しんでいたようです。
「デジタルデトックス」
一時期、こんな言葉が流行りました。
PCやスマホを使う生活に慣れ、情報の洪水に流され続けている現代人。
そんな中で「騒動」が起きたのですから、余計に惑わされる人も多いことでしょう。
あの当時とは違った意味で、私たちに必要な時間の使い方です。
意識しないと持てない貴重な体験
とはいえ、情報に接する機会が増えたからこそ、気づけた人もたくさんいます。
黙ったいるなんて無理!
スマホがないと死んじゃう!
そんな感覚を持ってしまう現代だからこそ、意識して「黙食」をすることが大切です。
食べ物の味に集中する。
自分が感じていることに集中する。
最近流行ったアニメの言葉を借りれば
黙っていても、あれこれ考えてしまうのは当然です。
考えていたとしても、そのうち考えることがなくなります。
堂々巡りしていれば、疲れてきて考えることを止めたくなります。
その先で、自分の感じ方がどのように変わっているのかに気づくでしょう。
次回も楽しみです。